泣きべそ奴隷

  • 2013/12/03(火) 22:33:24

本格M派ノベル 泣きべそ奴隷強調文
北林 一登
飲尿ラプソディ:さとしの顔の上で巨臀がうねる。溢れ出る甘美な液体、美声の秘密はどうやらこの女体ビールにあるらしい

娶る条件

 シンガーソングライターの、山田さとしはホモではないかと間違えられるくらいの、優男だった。
声は独得の甘いテノールで、不思議な魅力があり、若い女性ファンを魅きつけていた。
白いメタルフレームの眼鏡をかけて、ギターをかかえ、ソフトに語りかけるように歌い出すと、女性はうっとりと聞き惚れ、知らぬ間に彼女らの花弁が濡れてくるといわれるのも、いちがいにレコード会社の宣伝だけではなさそうである。
しかし、彼には妻があった。
レコード会社の営業政策上、絶対に独身ということになっているので、世間に公表できなかったが、元バーのホステスをしていた貴美江という女性と同棲しているのだった。
もつとも、昼夜、一緒に暮らしているのではなく、同じマンションの中に二室を借り、一室に山田が、他の一室に貴美江が住んでいた。
そして夜になると、山田が貴美江の部屋へこっそり忍んで行く。
十月初めの午後、さとしは仕事で出かけていた、軽井沢から帰ってきた。自分の部屋に荷物を置き、室内着に着替えると貴美江の部屋を訪れた。
「さとし、いつ帰ってきたの?」
彼女はべッドの上に、だらしなく寝ころんだままだった。
「やあ、ただいま。貴美ちゃん、さびしかった?」
「そりゃさびしいわよ。一人ぼっちだもの。退屈で死にそうだったわ」
「ごめんごめん、すまなかったね」
例の甘ったるいテノールの声で、囁くようにいうと、彼は貴美江の白い足をさもいとおしそうに抱き寄せ、唇をつけてやさしく舐めてやった。
「ウフン、くすぐったい。そんなことより早く御飯の仕度をしてよ。私はこの二日間、ろくなものを食べていないんだから」
貴美江は、うんざりといった調子でさとしの顔をその白い足でポンと蹴とばすと、ついでに手を伸ばして彼の頬をピシャリとひっぱたいた。
「いま、つくりますよ。わかってますよ。貴美ちゃんはお腹がすくと御機嫌が悪くなるんだから」
それでも彼は嬉しそうに、いそいそとキッチンに立って食事の仕度をはじめた。馴れた手つきである。
貴美江は美貌だった。松坂慶子にそっくりだと他人に言われるだけあって、そこいらのホステス連中とは比較にならないぐらいに美しい。
山田さとしが口説きにロ説き、土下座までして彼女の愛を得たとは、二人を知る人達の話題となったものだ。
その時、貴美江が出した条件というのが変わっている。
一、彼女より先に寝てはいけない
二、彼女より後に起きてはいけない
三、食事の仕度は、彼が上手につくる
四、いつも清潔でいる
五、小うるさいことは、いっさいいわない
六、つまらない嫉妬をするな
七、彼女の浮気は覚悟をしておけ
八、彼は絶対に浮気をしてはならぬ
九、彼女を家だと思って大切にせよ
 ずいぶん虫のいい条件だと思ったが、美人を妻にするためにはこのぐらいの苦労をせねばなるまいと、さとしはこれを全面的に受け入れて彼女との同棲に入ったのだった。


   拷問の鞭
        
「あら、あんた、今夜は少し元気がないみたい?」
「そんなことはないはずだけど……」
「いつもより柔らかいわよ。私の体の中の感じだから、すぐわかるのよ。さては、浮気したな」
「とんでもない、旅から帰ったばかりだから疲れてるんですよ」
「疲れてる?変だわ。この柔らかさは。射精後二時間以内のものだね。経験でわかるよ、白状しな」
「困つたな。ウソじゃありません。ほんとに疲れてるだけですよ」
「私を欺そうったって駄目よ。それ見ろ、身に覚えがあるものだから、うしろめたくて縮み上がっているわ」
自分の体から引き抜かせた一物を、貴美江は汚ないものでも持ちよげるように、指でつまんで引っ張った。
「信じて下さいよ。私にとっては貴美ちゃんだけが女性なんです」
「まだそんなことをいってるな。よし、拷問して、白状させてる。素裸になって手をうしろに回しな」
「勘弁してよ、ホントに浮気なんかしてないんだから……」
「お前。私と一緒になる時、なんて言った?奴隷になります。女王様としておつかえしますって誓ったじゃないか」
「覚えてますよ、その通りしております」
しゃべっているうちに、貴美江の手は素早く動いて、彼を後ろ手に縛りあげ、繩尻を鴨居に通してぐいぐい引き上げてしまう。
つま先立ちに吊られたさとるの前に近づくと、彼女は伸びた爪で、彼の乳首を強くひねりあげた。
「痛い! 痛いですよ」
「当たり前よ、痛くしてるんだもの。だんだんひどくなるよ、早く白状したほうが身のためよ」
貴美江はこんな演技をしていると、いつも体がゾクゾクしてくる。遊びにやっていたSMプレイが、これほど楽しいものだとは思わなかった。
先天的に自分にはSの気があったのかも知れないと思う。何しろ男を苛めているだけで体の芯のほうがねっとり濡れてくるのだ。
「今日は、まず淀腸してから、鞭を使ってやろう」
「アア、許して下さい」
「何よ、体はこんなに喜んでいるくせに」
浣腸とか鞭とかいう言葉を聞くと、さとしの男性はそれだけで、条件反射よろしくビンンたかぶってくる。
「千ccほど、入れてやるわ。さア。お尻をあげな」
「ヒーイッ」
責め道具はすべて揃っていた。手錠でも鞭でも浣腸器でもすべてさとしが買ってきたものだ。
グリセリンをお湯にといて、淀腸器に入れると、太い嘴昿をズブリと彼の肛門に突っ立ててやる。
「グェツ」
「ほらほら、気持ちいいだろう、気特ちいいってお言い!」
「はい、気持ちいいです」
事実、体内に入れたばかりの時は、なまぬるいお湯も気持ちのいいものである。しかし五分も立つともういけない。
腸はグルグル鳴り、下腹が痛くなって耐えられなくなる。
「ああ、もうだめです」
「コケシ人形で、栓をしといてやるよ。これなら大丈夫だろ」
やや細目のコケシ人形、これも大人のオモチャ屋で彼が買ってきたものだ。それをまるでコルクの栓のように、さとしのヒップにスッポリと挿入してしまう。
「さあ、これからゆっくり責めてやる。鞭は何発欲しい」
「五発ぐらいで結構です」
「何、五十発?遠慮したわね。ようし、行くわよ」
ビシーッ!ピシリ!ピシャリッ!
さとしの尻は、みろみるうちに赤く腫れ上がり、みみず腫れの線が縦横に走った。
「ヒーッ、痛い!」
「さあ、お言い。軽井沢に行ってる間に、何回浮気したの」
「浮気はしません……ただ……」
「ただ、何だい。はっきりいわないか」
ビシーッ!
「いいます、トルコ風呂ヘー回行っただけですよ」
「いよいよ白状したな。軽井沢にトルコ風呂があるのか?」
「いえ、帰る途中の深谷にあるトルコです」
「不潔な男、やっぱり二時間以内に射精してるって本当だったろう」
「嘘いってすみません。もう限界です。トイレへ行かして下さい」
「バカッ、今度はトルコへ行ったお仕化置きだよ。鞭五十発追加!」
「うヘーっ!」


  ジャングルの虎

 貴美江は、山田さとしと同棲関係にはあるものの、それほど彼を愛してはいなかった。
ただシンガーソングライターとして、テレビなどで有名な男である点が気に入って、つき
合いはじめたのである。
彼女は大体が有名人好きだった。歌手、俳優、政治家、小説家、とにかく有名人であれば交際してみたいのだ。銀座のバーでも彼女は目立つほうだったから、相手に不自由はなくいままでに五指を屈する男達が、彼女の餌食になりている。いや貴美江のほうが餌食にされたのかも知れない。 
けれども、山田さとしの場合だけは、ちょっと違っていた。
ほかの男のように遊びではなく、彼は献身的に貴美江につくし、結婚を求めてやまなかった。
ホステスにとって、結婚という餌は魅力だし.まして相手は歌手の有名人である。
少しやさし過ぎるのが気になったが、暴力亭主よりはましだろうとも思った。彼女の本音は力強く、自分を引っぱっていってくれる型の男性に憧れていたのだが……。
こうして二人は深い関係に入ったのだが、初めて彼とベッドを共にした夜、さとしから意外なことを打ち明けられた。
「貴美ちゃん。僕、恥すかしいんだけど、このままでは立たんのよ」
「あら.若いのに、あんた.インポなの?」
「違うんだ、貴美ちゃん、マゾつて知ってますか」
「知ってるわ、SとかMとかいうんでしよ。私は酒場勤めしてるから、耳学問でたいていのこと、おぼえちゃうのよ」
「僕、女の人に苛められないと燃えないんです。立たないんです。ここに縄や鞭があるから、これで苛めてくれませんか」
「いやだなあ、私。遊びでならしてやってもいいけど、結婚する相手がMだなんて、想像していなかったわ」
貴美江は、本当にイヤそうな顔をした。
「さあ、変なことをいわないで、一諸に寝ましょう。大丈夫、大きくなるわよ、私が必ず大きくしてあげる」
しぶしぶベッドに入ってきたさとしを、彼女は指や唇、舌などさまざまなテクニックを使って刺激してやったが、それはピクリともせず、ジャングルの中にひそむ子描のようなおとなしさだった.
「だめねえ、ほんとにあんたって、苛めないとだめなの?」
「すみません、フェラチオなんかして頂くとかえって萎縮してしまうんです」
「じゃ、勝手におし、私、もう疲れたわ」
後ろに引っくりかえると、ベッドに寝そべった貴美江の足を、さとしはさも尊いものでも扱うように両手でささげ.足指の一本一本を舐めはじめた.
「馬鹿!くすぐったいじゃないか」
バシッ!と彼の顔を足で蹴とばすと、さとしはもんどり打って、ベッドから床の上に
ころげ落ちた。
ひき蛙が潰れたようになったぶざまな男を見て、彼女は腹立ちまぎれにその上へ乗り、両足でぐいぐい踏みつけてやった。
顔も、胸も、腹も・…:そのとき、さとしの下腹部に縮んでいた男性が、異常な速度で膨張を開始したのを、彼女の眼が捕えた。
「ぐえっ!痛い痛い、貴美ちゃん、……許して!」
さとしの悲鳴とは反対に、それはあたかもジャングルの中からヌッと現われた虎そっくり、頭をピンと持ち上げ、たくましくかがやいていた。


   浮 気 妻

 さとしが、ホステスの貴美江と結婚したいと言い出したことは、彼の実家とプロダクションとをひどく驚かせた。
山田家では親族会議を開いて、この結婚に反対を表明した。代々堅い家庭で、そもそも息子が芸能界へ入ったのさえ気にいらないのに、今度は水商売の女との結婚である。
プロダクションとしても。せっかく売れはじめた人気に傷がつくという理由で反対した。せめて同棲の範囲にとどめ、結婚という形態はとらないで欲しいと要望した。
当の貴美江も、さとしの性癖を考えると、結婚に二の足を踏んだ。ひとまず同棲だけにして、もう少し様子を見たかったのだ。
ひとり、さとしだけは正式の結婚を希望した。
彼のM性を満足させ得る結婚は、貴美江を置いて考えられなかったからだ。
彼女ならば、このことを打ち明けて協力を求めることができる。
社長令嬢でも大臣の娘でも、彼のM性を理解してくれる女性でなければ、彼には全く意味がなかったのだ。
しかし三者の理解が得られなければ、とくに貴美江自身が当分の間の婚前同棲を希望する以上、この形態も止むを得なかった。
マンションを二部屋借りての、奇妙な同棲生活がこうしてはじまったのだ。
数日後、貴美江の部屋に、バーテンの遠藤がきていた。
彼女がもと勤めていたバーのチーフだが、ママの実質的な夫でもある。バーのママという職業も、独身でないと客がつかないものらしい。 
結婚していても、同棲していても、独身と称して通す女が多い。
遠藤は、そんなママの夫兼経営者、兼バーテン、マスター、チーフというわけだ。
二人は昼間っから、ウィスキーを飲みながら、テレビを見ている。テレビには山田さとしが出ていて、ギターを弾きながら「なぎさの女」という曲を歌っていた。
「今日のは、ビデオかな」
「生中継みたいよ。局で仕事だっていってたから」
「じゃ当分、旦那は帰ってこないね」
「旦那だって、あんなヤッ、私の召使いみたいなものよ」
「女王様と奴隷か、フッフッ、うまくやってるな」
「何よ、変な笑い方して、あんたがいけないのよ、私達の間を取り持ったりするから」
「いいじゃないか、それで皆が満足してるんだから。俺もこの関係が一番都合いいのよ」
遠藤の手が、すっとのびて貴美江の豊かなバストに触った。
「またァ、ママにいいつけるわよ」
「いまさら改まることはないだろう。両方とも正式に結婚しているわけじゃないんだから遠慮もいらんわけさ」
「フッフッ、それもそうね」
遠藤の手が素早く動いて、貴美江の乳房をむき出しにかかる。
「ウン、こいつがいいんだ、たまらないよ」
「くすぐったいよん」
彼の唇が、艶かな乳房の上についた朱いぐみの実を吸い始めている。
「亭主のテレビを見ながら、ソイツの女を頂くなんて、こたえられないぜ」
「悪趣味ね」
遠藤の措が、なれたしぐさで彼女のスカートの下にもぐり、パンティの中に侵入してきた。そこは確実に湿潤の地であった。
「もう、こんなに濡れてるじゃないか」
「あんたが悪いのよ。あいつ、弱くって、私は年中、欲求不満なの」
「だからこそ、俺の存在価値があるってものよ。こんないい女をほっとくなんて、もったいない話だ」
「でしょう……だから、うんといい気持ちにさせて」
「よし、本格的にやるか……」
バーテンにしては、やや男っぽい遠藤は貴美江の好みだった。裸になると、ボクシングで鍛えた筋肉が盛り上がっていて、見事な男性美である。
その点、さとしは逆で、色が白いうえに、女のようになよなよした体つきをしている。
胸毛などまるでない。
「いつ見ても、いい体しているわね、とくにこの部分が好き」
屹立しているものを、そっと掴んでみる。
確かな手ごたえである。
固く血管がふくれ上がっているような感触がたまらない。
さとしのふにゃまらとは、えらい違いだった。
「おい、触ってばかりいないで。お前も裸になれよ」
「嬉しい。何だかずいぶん久しぶりみたい」
「一週間前にきたばかりだぞ。ヤツが軽井沢に行ってた時だろ、浮気がばれたら、まずいんじゃないか」
「かまわないわ、あいつだってトルコへ行ったんだもの、拷問で白状させてやったの。そのあと逆吊りにしてあそこの毛を全部剃り落としてやったわ」
「そりゃ可哀相に」
「これで当分、トルコなんか行けないと思うわ。いい気味よ」
「自業自得じゃないか、いくぞ」
「あっ。せっかちね。もっとゆっくり……」
床慣れした貴美江の巧みな誘いであった。
   

女体ビール

 山田さとしは、顔や職業に似合わず、一種のトルコ病患者である。トルコの看板を見ると無性に入りたくなる。
ことに最近はやりはじめたSMトルコには目がない。
都内の西の盛り場に、その道の人達には有名なSMトルコがある。
「あら、山田さん、しばらくね」
なじみの女、静子と指名すると、整形したのじゃないかと思わせるほど、ととのった顔の美人がにこやかに現われる。
「相変わらず、忙しいんでしょう」
「まあね、この間は軽井沢で仕事だったよ」
「あれ、テレビで見たわ、凄い人気ね。その人気タレントが私の足もとに膝まづいているなんて信じられないわ」
「それがいいんですよ。また今日もよろしくお願いします」
「よしよし、今日もうんと苛めてやるから、早く裸になりな」
「はい……」
「あんた、どうしたのよこれ、毛を剃られちゃったの」
「そうなんです。トルコ行きがばれてしまって……」
「へえ、きれいに剃られたわね、こうして見るとあんたのものも、なかなか立派ね」
「毛がないから、長く見えるんでしょう」
「まあいいわ、毛がなくたって。さあ、この首輪をつけてやるから、首を出せ」
赤い犬の首輪がはめられ、鎖をつけられてしまう。
「今日は手錠だよ、ホラ、うしろへ回して」
ガチャッ、ぶきみな金属音が浴室内に響きわたる。
「いい恰好だこと、首輪と手錠と鎖と、そして毛のないおチンチン。よし、そこに膝まづけ!」
ピシッ!ビタッ!
「痛い!」
「よそのトルコなんかへ行った罰よ。毛まで剃られてきて、何よ。こいつをチョン切ってやろうかしら」
「それはやめて下さい、それを切られると、できなくなります」
「スペアを貸してやるよ、それにチョン切ってもまた生えてくるから心配しなくていい」
「そんな……」
「実験済みだから.大丈夫だよ」
ピシャッ!ピシッ! 静子というこの女、冗談口を叩きながらも強烈な鞭をあててゆく。彼の尻や腰が、鞭痕で真ッ赤になる頃には、一物は隆々として天を向いていた。
「元気になったね、木当に長くて大きく見えるよ、今度はそれにろうそくを垂らして、こちこちに固めてやろう」
「ひいーっ、熱くしないで下さい」
「ろうのしずくなんて、そんなに熱いものじゃないわ。ただこいつをろうで固めて、その先っちょに火をつけてみたいのよ。おもしろいじゃないか」
「ひいーっ。助けて」
浴室のタイルの上に寝ころがしたさとしの股間に、太いろうそくの火から落ちるしたたりが、ぽつりぽつりと垂れはじめた。
「熱い、あつッ……」
「今日は他の場所には垂らさない、ここだけ集中して固めてやる。ろうが固まれぼ永久に立ったままだよ、嬉しいだろう」
「はい、嬉しいです。でも熱い。あっつ…」
みるみるうちに、さとしの男性は白いろうに蔽われて、グロテスクな固まりに変貌していく。
「さあできた。このさきっぽに火をつけてみるかい」
「や.やめて下さい、ダメです。それだけは……やめて」
さとしは必死になって叫んだ。まさかと思うが、やりかねない雰囲気があるのだ。
「こわい?」
「こわいです」
「じゃ、代わりに私のおしっこを飲む?」
「飲みます。飲みます」
まるこげのソーセージにされるよりは、ましである。
「おしっこ代は三千円。別に払うのよ」
「はい、払います.お願いします」
「じゃ飲ましてやる、ちょっと待ってね」
ろうそくの火を消して、静子はそっとパンティを脱いだ。
「ちゃんと上向いて、ロを開けな……」
「はい」
さとしの顔の上に、白い豊臀がずしりと乗った。
「こぼさないで、すっかり飲むんだよ」
「……………」
もう口がきけなかった。
なま暖いおさし身のようなものが、べたりと彼の口を蔽っていた。
そのさし身の間から、これもなまぬるいビールのような液体が、じわじわとしみ出してきた。
さし身ごとロの中に含むようにして、その液体をちゅうちゅうと吸う。
「バカ、あんまり強く吸っちゃだめよ」
吸うのをやめた瞬間、女体ビールはどっと堰を破るようにして口中へ侵入してきた。
ごくんごくんと喉が鳴った。
山田さとしの甘い声の秘密は、この女体ビールにあるらしい。
これを飲み続ける限り、彼の声は甘い魅力を失なわないだろうと、彼は信じていた。.
溢れるばかりの女体ビールを、彼はいつまでもいつまでも、飲み統けていたかった。


   栗 の 花

 テレビのビデオ撮りが終わって、珍しく昼の時間があいたので、さとしは自分のマンションへ帰ってきた。
こんな時間に帰るのは珍しかった。貴美江が退屈だからといって、もとのバー勤めに戻ったので、夜は彼女が自分の部屋にいないことが多い。
そのかわり、昼は遅くまで寝ている。
貴美江の部屋をたずねると、鍵がかかっていた。
留守かな、と思ったが、合い鍵があるのでドアを開けて入っていくと、寝室のほうから、妙な声が聞こえてくる。
「あっ……だめよ……まだ早いわ.一緒に、ねえ」
 「……………」
男のうめき声のようなものがしたが、はっきりしない。
女の声は、あきらかに貴美江の例のときの声だ。
さとしは、カーッと頭に血がのぼるのがわかった。
彼女が男を連れこんで、今その最中であるのは明瞭である。
籍は入れてないが、実質的には妻だと思っているさとしにとって、この有様はショック
だった。
相手の男が誰かを知りたくて、そっと寝室のドアを細目に開けて、なかを覗いた。
いましも、裸の男が腰をつかって突き立てている最中だった。
「遠藤だ……」
さとしは、声も出なかった。以前から、有名人好きの女で、一部には公衆便所というひどい綽名までついていたと聞いたことがある。
しかし特定の相手がきまって、同棲状態に入った現在、大ぴらにこういう振舞いをされ
るとは思わなかった。
だが逞しい遠藤の後ろ姿を見ると、とても中へ入り難詰する勇気が出ない。
「畜生、チーフの奴、俺の女を……」
口惜しい気持ちが、黒雲のように湧き上がってくる。
それを抑えつけるようにして、彼はそっと部屋を脱け出し、廊下の隅にたたずんで、遠藤が出てくるのをじっと辛抱強く待っていた。
やがて、軽くなった腰をゆすり上げるようにしながら、遠藤が部屋を出てきた。
ばったりと顔を合わせる。
さとしは鬼のような形相をして彼を睨みつけた。
 「やあ、山田さん。今日はお早いですね。いや。ちょっと奥さんの所へ用事があってね、こりゃまた……」
平然とした顔で、表情ひとつ変えずに、遠藤は廊下を遠ざかっていく。
何か怒鳴ろうと思っていたさとしは、そのうしろ姿を見送って、口をパクパクさせるだけだった。
そこで、バタン、とドアを荒々しく開け、貴美江の部屋へ入っていった。
「あら、チーフ、忘れもの?」
「……………」
「何だ、あんただったの、そこでチーフに会わなかった」
「会ったよ、しかし、いま、ここで、何をしてたんですか」
「アク、血相をかえてどうしたの。なんでもないわよ。ビールを飲みながら世間話してた
だけなんだから」
「嘘でしよ。ベッドがこんなに乱れてる」
「私が、それまで寝てたのよ」
「この汚れたティッシュは何ですか」
「一人でオナってたのよ、悪い?あんたが弱いから欲求不満がたまってたのを、一人で解消してたの。あんたのおかげよ」
「それは……それは、私は弱いです}
「弱過ぎるわよ、あんたぐらいの年頃だったら一週間に五回は普通よ。それに一回一回がもっと濃いわよ。それがあんたは何よ、月に二、三回が精いっぱいじゃないの」
「でも……僕はあなたを愛しているんです」
「愛しているなら、私を満足させるほど抱いてみたらどうなの、一晩にたっぷりいかせてみてよ」
「……………」
「わたしがオナニーしないでもすむように、頑張ってくれたらどうなの」
「しかし……」
「何が、しかしよ」
「この紙の匂いは、男の匂いです」
「お前、私に焼きもちをやくつもりなの」
「いえ、そんなことは……」
「婚約の時の約束条項を党えているかしら、嫉妬はしない、浮気は覚悟するって」
「でも、それは……」
「でももヘチマもないわ。お前は私の奴隷だよ。奴隷が御主人様をいちいち監督しようっていうのかい」
「すみません、僕が間違っていました」
「こんなこと、間違いではすまないわ。反省するまで徹底的にお仕置きしてやる」
「ごめんなさい。許して下さい」
「許さない。この柱にお前の両手両足を縛りつけてやるから、今夜一晩中、反省してな」
柱を背にして、ぐるぐる巻きにされたさとしは、ロの中へ遠藤と貴英江が後始末に使用したらしい栗の花の匂いのするちり紙の丸めたものをつめこまれ、その上から貴美江のパンティでぎゅうづめの猿ぐつわをされてしまった。
「これでいいわ。私はこれからお店へ出るから。明日の朝までこうしているんだよ。いい恰好だわ」
貴美江が出ていってから、もう何時間たつたろう。
憎らしい逮藤の精液をたっぷりと吸いこんだちり紙が、いま彼の口中で確実に溶けつつあるのだ。
吐き出したかった。
しかし実際には逆に喉から食道のほうへ押しこまれてゆく、彼女のパンティが芳香を発しながら、口の中に充満しているためだ。
「畜生!遠藤のやつ……」
栗の花の匂いが、強烈に鼻をつく、彼女の匂いとミックスしているが、情けないほど辛
い。
縛られている手と足とが、ジンジン痺れてくる。
何だか意識がもうろうとしてくるのだった。


甘美な陶酔

 幻想に惑乱した脳裏に、遠藤の笑い声が聞こえてくる。
貴美江の勝ち誇ったような嘲笑が聞こえる。
「こいつ、私の奴隷のくせに、あんたに妬いてんのよ、生意気ね」
「マソのくせに。一人前の男みたいなことをいうじゃないか」
「そうなのよ、だからいま、お仕置きをしてこらしめているところ」
「俺の如意棒を、舐めさせてやるか」
「それがいいわ、喜ぶわよ、きっと」
やめてくれ、遠藤のものなんか、どうしてくわえたりできるもんか、さとしは心の中で絶叫していた。
男の逞しい下半身が、彼の顔前に迫ってきた。
彼のと違い、陰毛もふさふさと繁り、濡れて黒光りするコックである。
いま、貴美江の体内から引き抜いてきたばかりのそれは湯気が立つほど熱く脈打っている。
「口を開けな」
貴美江が、彼の唇に指をかけて開けようとする。
抵抗して開くまいとするさとし。
彼女の手が素早く動いて、彼の両頬に強烈なビンタをくれていた。
さとしは涙ながらに口を開けた。大きな遠藤のコックが、ズブリと彼の口を犯した。
栗の花の匂いが、ツンと鼻を刺激する。
「よく舐めるんだよ。わたしの旦那様のものだから、きれいに清めなさい」
畜生!俺の女を犯しやがって!さとしはロ惜しがった。
しかしその口惜しさは次第に甘美な陶酔に変わっていりた。
男の匂いはイヤだが、彼の如意棒も貴美江の体内にあって、彼女の体液にまみれていたはずではないか。
それならいましゃぶっている肉棒も、附着している液体は女のものではないか。
そう思うと、さとしはいま飲みこんでいるものがいとおしくさえなってきた。
「貴美ちゃん………」
どこかのテレビかラジオが、さだまさしの『関白宜言』という歌を流していた。
彼の朦朧とした意識の中に、その歌詞が妙に新鮮に響いてくる。
 お前を嫁にもらう前に
 いっておきたいことがある
 かなりきびしい話をするが
 俺の本音を聴いておけ
 俺より先に寝てはいけない
 俺より後に起きてもいけない
 めしはうまくつくれ
 いつもきれいでいろ
「いい歌だ」
 さとしは、黙ってきき惚れていた。俺も同じ歌手だ。あんな歌をつくってみたい。
でも俺につくれるのは、せいぜい「奴隷宣言」って歌ぐらいだろうなあ。
そんなことが頭の中に浮かんでは消えていった……

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